逸品とは、お店の売る姿勢を明確に示した売り筋商品であり、顧客の潜在ニーズを掘り起こす提案型商品です。たとえば、「お店の特徴を示す商品」「そこでしか買えない商品」「お店のおすすめ商品」「店長のおすすめ商品」「季節のおすすめ商品」などが、逸品といえるでしょう。こうした逸品を持つことで、お店としての個性を明確に打ち出していこうというのが、一店逸品の基本的な考え方です。 そして、一店逸品運動とは、商店街や共同店舗での会合を通じて、参加店それぞれの逸品の開発や発掘を行い、「逸品フェア」というお披露目を、定期的に開催していく一連の活動です。 |
*逸品運動の基本とは
1)継続すること
一店逸品運動は、「運動」であり、継続的に進めていくことが重要である。逆に言うと、短期に結果が出にくいのも、逸品運動の特徴のひとつである。そもそも、逸品ということばを聞いても、一般の方は具体的にイメージできない。したがって、逸品という概念そのものを、地元の生活者に認知していただくためには、ある程度の時間がかかるわけである。
また、「運動」だから、次第にその輪を広めていくことが大切である。はじめは少人数でスタートしても、回を重ねる度に、参加メンバーを拡大させてゆく。さらに、はじめは、ただ珍しいだけの逸品でも、徐々にお客様の支持を得られるような「すぐれもの」にしてゆく。このように、運動としての広がりと内容の充実を進めていくことが、逸品運動の運動たるゆえんなのである。
2)基本は逸品研究会にある
逸品運動の基本は、研究会にある。定期的に参加者が集まり、逸品の検討をしてゆくのが、逸品研究会である。研究会では、お店のこと、お客様のこと、そしてお互いの逸品について、腹を割って話し合う。品揃えの見直しの延長線上に、逸品があるわけだから、品揃えの前提となる、お店の特徴や対象客層について、まずは話し合う。
研究会の最終目標は、個店の逸品づくり、逸品さがしにある。一人で考えていると、どうしても、偏った思考になったり、壁に突き当たったりしてしまう。最終的には、各店が自分で逸品を決めなければいけないわけだが、ほかの人と話し合うことで、ヒントが得られたり、勇気づけられたりする。逸品研究会に参加していくことが、逸品運動を継続していく原動力となる。
3)「楽しい」研究会が大切
研究会では、小グループに分かれて、話し合いをする。グループのメンバー構成は、発想を豊かにするためと、気兼ねなく発言するために、あえて異業種の組み合わせにする。研究会は、あくまでも話し合いの場であって、会議ではない。何かをまとめたり、決議することはしない。眉間にしわを寄せて、堅苦しい会議をするのではなく、多少の雑談や、時には少々脱線しながら、和気あいあいとした雰囲気での話し合いが大切である。楽しい研究会からは、お客様にとって楽しい逸品が生まれる。
また、逸品運動に継続して参加しているお店の多くの方から、「研究会が楽しいから参加している」との声を聞く。今や、商店街で行われなくなってしまった、「ざっくばらんに話し合うこと」が、逸品研究会では行われていて、参加者はそんな話し合いが、楽しいと感じているのだと思われる。
逸品運動とは逸品研究会そのものであり、逸品フェアや逸品のチラシは、1年間続けてきた研究会の成果のお披露目であり、結果に過ぎないのである。逸品を探したり、作り上げていくプロセスである、逸品研究会の存在こそが、逸品運動の基本である。
以上